愛を名乗り、祈り、たどり、名のとおり無上に戸惑い、
時に愛の線で選ぶ夜に手に手をとって天に引かれ光れ惹かれ光れ

SUPERCAR/HIGHVISION〜STARINEより抜粋


「ほら、栞。もう寝なさい」
「…私一人だけで寝るの?」
「もう小学生でしょっ。いつまでも甘えないの」
「お姉ちゃんと一緒に寝たいな…」
「もうしょうがないわね…わかったわ。そのかわり、ちゃんと歯磨いて寝なさいよ」
「うんっ」


二人で一つのベッドの中に入り込む
洗い立ての髪の毛の匂いがシーツに染み込む。
二人の姉妹はお互いの顔を見合わせる
お互いの吐息が髪をくすぐる
それがどことなく二人にとっておかしかった


「ねえ…お姉ちゃん」
「何?」
「手ぇ繋いでくれる?」
「いいわよ」
「…ありがとう。お姉ちゃん」
「…もう栞ったらいつまでも甘えん坊ね。こうしないと眠れないなんて」
「うう…イジワル」
「せっかく手繋いであげるんだから文句いわないの」
「いいえ、文句なっていませーんよー」
「…まったくこの子ったら」


部屋中に二人の少女の笑い声が響いてた
とても
とても
幸せそうに

その瞬間、そこには悲しみがなかった


『YOUR SOUL IN LOVE』



子供のころ、姉妹二人で一緒に一つのベッド眠っていた。
お母さんによく狭くないのって聞かれたけど
そんなことは全然なかった。
二人で互いの体温を感じながら眠りにつくのは心地よかったし、安心できた

それに

一人で夜を越すのは恐かった。
私の躰を芯まで侵していた病がいつ私に終わりを告げるのか
こわかった。
もう目をつぶったら太陽の下で光をあびることも
大切な人と再会することも出来ない

そんな気がしてならなかった。


眼を開けてみる。
私の知らない天井。
私の好きな人の部屋の天井。

少し前までは
私が選択できることは
自分の部屋か病院の集中治療室、どちらの天井の下で終わりの日を待つか

そんなのだったのに
今はこんな場所で…
好きな人と体を重ねあって…


寝返りをする
隣には彼の…祐一さんの横顔
赤ん坊みたいな寝息
愛らしい寝顔
まるで、小さな子どもみたいで可愛いです

なんだか名雪さんが思わずいじめたくなるっていう気持ちが分かる気がする…

「……ん?」
彼が目を覚ます。
「起きてたんだ」
「はい、起きちゃいました」
「ふーん。…どうしたんだ」
「へ…?何がですか」
「口元がにやついているぞ」
「祐一さんの寝顔が可愛いかったですから」
「…何だよそれ」
頬赤くしてる。…やっぱし可愛い♪
「祐一さんって意外と私よりも顔に出るタイプなんですね」
「俺は正直者なんだ」
「そうには全然見えませんけど」
「栞…最近そういうとこだけ姉に似てきたな…」
「…どうしてお姉ちゃんが出てくるんですかっ」

何気ないやりとり
ホントに
ホントに
私は
私は
こんなにも幸せでいいんだろうか
いいんだよねもう幸せになっても

「ねえ…祐一さん」
「何だ……」
「一つお願いしてもいいですか」
「叶えられる範囲ならな」
「手ぇ、繋いでくれませんか」
「…別に構わないぞ」
祐一さんの手が私の手を握る
私よりも大きくて、あったかい…男の人の手
「…ありがとうございます」


恐くないよ
もう大丈夫
この人となら
どんなにも長い、永い夜でも
ずっと二人一緒なら…


きっと越えていけるから

fin.


APPENDIX
同日、同時、某所
「うわ〜ラブラブだね〜」
「あぅ〜、シゲキ強すぎ……」
「ふふ…若いわね。二人とも♪(でも腰の振り方はまだまだね)」
「はぁ…娘を嫁に出す父親の気持ちってこんな感じなのかしらね…」

しっかり水瀬家(+α)一同に隠しカメラで見られている罠。

どうもpsyko(サイコ)です。
このSS、何となく書いていった言葉の羅列を適当に組み合わせていったら、できちゃったという代物で…
そのため栞らしかぬ台詞多数。(;´д`)
んで相変わらず短いです…(>_<)
しかもちょっと内容的にも色々と……はぁ

ちなみにタイトルはRADIO HEADの『the Bends』に収録されている「street sprit [fade out]」の歌詞から来ています。
意味は「魂を愛で満たせ」だ、そうでーす。



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