それは…長い…夢…だった…。

いったい…どれぐらい…眠っていたのだろう…。

長く…儚く…そして冷たい…夢だった…。

私を…そこから…連れ出して…くれたのは…ずっと…待っていた…あの人だった…。





〜永遠からの目覚め〜






今…長い…苦しい…夢から…解き放たれた…。

目覚めると…私の横に…兄くんが…いた…心配そうな…顔をした…兄くんが…。

「大丈夫か?千影。」



私は…どれぐらい…眠っていたのだろう…。こんなに…兄くんが…心配してくれている…。

なんで…かな…?そんなに…長い間…眠って…いたんだろうか…こんなに…心配された事なんて…今まで…なかったのに…。

「大丈夫…だよ…兄くん…。」

しばし…間をおいて…私は…兄くんの問いに…答えた…。それを聞いた…兄くんは…すごく…

安心した…ように…、

「そっか…よかった。」

そう言った…。けど…そう見えたのは…その時…だけだった…。兄くんは…泣いていた…。

まるで…子供のように…止まることを知らない…濁流のように…。

泣きじゃくって…いた…。それを見て…私は…疑問を…口に…してしまった…。

「兄くん…なぜ…泣いて…いるんだい…?」

聞くのは…怖かった…もし…泣いている理由が…私の…私のせいだとしたら…。

私の…想像した理由と…同じだったら…。そう思うと…返事を聞くのは…とても…怖いことに…思えた…。

でも…兄くんの…返事は…考えもしなかった…そんな理由だった…。

「もう千影が戻ってこないと思ったから…。そう思ったら悲しかったから…。」

兄くんが…そんな風に…思っていてくれたなんて…考えも…しなかった…。

考えてみれば…今まで…兄くんの…役に立った事なんて…一度も…ない…。なのに…兄くんはそんな私を…心配して…くれている…。

「兄くん…。」

普段…感情を…表に出さない…そんな兄くんが…私の事で…泣いていた…。

その時の兄くんは…いつもより…幼く見えた…気がした…。

そして…気がつけば…私も…泣いて…いた…。

「ふふ…おかしいね…涙が…出るなんて…」

私は…少し…泣きながらも…微笑みながら…言った…。

「ははは、そうだね…。」

兄くんも…涙のあとを残したまま…微笑みながら…言った…。



私は…笑っていた…。兄くんと…一緒に…。

それは…私にとって…久しぶりの…いや…初めてかもしれない…心からの…笑顔だった…。



「兄くん…」

「ん?どうしたの?千影。」

「………ック…。」

「千影?」

涙が…頬を伝って…ぽろぽろとこぼれた…。不安だった…。

気がつけば…私は…兄くんの服を…強く…握っていた…もう…離すまいと…。

「…怖かった…夢の中で…私だけが…孤独で…いつも孤独で…怖かっ…ヒック…た…」

いつも…一人でいたのに…孤独なんて…もう慣れていた…はずなのに…。

私は…また…泣いていた…。もう…独りじゃ…ないというのに…兄くんが…そばに…居てくれるというのに…。

いつから…私は…こんな…泣き虫に…なった…のだ…ろう…。

「…すまない…兄…ヒック…くん…ぐすっ…」

こんな…私では…兄くんに…嫌われて…しまう…こんな…迷惑を…かけてばかり…いては…。

…そう…考えると…涙は…止まらなかった…。

…怖かった…独りだけ…ということが…。でも…でもそれ以上に…兄くんに…嫌われる…ことが…すごく…怖かった…。

もし…嫌われてしまったら…私は…。

「千影…もう耐える事なんてないから…泣きたい時は泣いてもいいんだ…そうだろ?」

兄くんは…やさしく…私に…問い掛けるように言った…。私は…返事を…する事が…できな…かった…

しようとしても…それは…言葉には…ならなかった…。

「…ぐすん…兄…くん…ひっく…兄くん、兄くん…うわあぁぁぁぁぁぁ……」

私は…泣いた…。人の前で…泣いた事なんて…いままで…いちども…なかった…。

…私は…兄くんに…抱きしめられながら…泣き続けた…。

涙が…こんなに…溢れてくるなんて…思ったことは…なかった…。

兄くんも…はじめてみる…私の一面に…とまどっている…ようだった…。

そんな兄くんの胸に…私は…顔をうずめて…泣いた…。

そして…泣きながら…思った…。

「…兄…くん…なんで…私は……存在…して…いるんだろうね…」

思わず…声に出してしまっていた…。

「千影!」

兄くんの…声は…きつかった…。

「すまない…兄くん…でも…私は…此処に…いても…いいん…だろうか…」

そんな私の質問に…兄くんは…声を大きくして…言った…。

「いいに決まっているじゃないか!」

そう言ってもらえる…ことは…嬉しかった…。でも…とても…信じられなかった…。

「…でも…私は…兄くんみたいに…みんなに…必要と…されて…いない…」

「そんなことない!千影はみんなに必要とされてるじゃないか!」

チガウ…。そんなはずはない…。私は…いつだって…邪魔者だ…。

だれにも…必要となんてされてない…!

「…そうかな?…兄くんは…可憐ちゃんや…花穂ちゃん達に…必要とされているけど…

 でも…私は一体…だれに…必要と…されているんだい…?」

私の…皮肉めいたような口調に…しばらくの…沈黙が…訪れた…。

わかっていた…こんな事を…聞いてはいけないことぐらい…。でも…それでも私は…。



いつから…こんなに…自分を…認めて…欲しく…なったのだろう…。

前までなら……だれにも…必要と…されなくても…邪魔者として…扱われても…

平気だった…。前までなら…そんな事は…なんとも…思わなかった…のに…。



「…僕じゃだめかな?」

先に…沈黙を破ったのは…私ではなく…兄くんだった…。

「…え…あ…に……くん…?」

私は…すぐに…返事を…することが…できなかった…。

「僕が…僕だけでも千影が必要だから…。それだけじゃ駄目かな…」

「兄くん……」

とても…嬉しかった…兄くんから…そんな…言葉が…聞ける…なんて…いちども…思って…みなかった…。

「でも…兄くん…私がいては…迷惑じゃ……」

でも…私がいては…兄くんは…迷惑なはず…だった…。けれど…

「そんなことないよ。千影がいてくれれば、それだけでいいんだ。」

…兄くんの…口調は…やさしかった…この世のものとは…思えないくらいに…。

そんな…兄くんだから…私は…好きになったんだ…。また…涙が…溢れてきた…。

兄くんは…頬をつたう…涙を…そっと…やさしく…拭ってくれた…。そして…やさしく…抱きしめて…くれた。

…さっき…拭ってもらった…ばっかりなのに…また…涙が…溢れて…きた…。

悲しさから…来る涙では…ない…嬉しさと…喜びの…涙が…。

私は…自分の…気持ちを…ずっと…言えなかった…。伝える事が…できなかった…。

でも…今なら…伝えられそうな…気が…する…。

だから…伝えたい…。ずっと…言えなかった…気持ちを…兄くんに…伝え…たい…。

「兄くん…ずっと…好きだった…これからも…ずっと…兄くんの…事だけが……んっ…」

それから…先の言葉は…兄くんの…唇が…邪魔をして…続ける事が…できなかった…。

兄くんは…私の言おうとしていることを…わかっているようだった…。

「僕も千影の事が好きだよ。ずっと昔、小さい時からずっと…。」



ずっとすれ違っていた想いは…今、出逢った…。

素直に伝える術を持っていなかったあの頃。

あの頃から数年。ずっと不器用だったその想いは今結ばれようとしている。



「兄くん……。」

嬉しかった…。いつも…兄くんには…迷惑を…かけてばかり…いたから…。

嫌われていても…仕方がないと…思っていた…。自分のした事を…考えれば…。

なのに…兄くんは…そんな私の事を…好きだと…言ってくれている…。

たったそれだけで…その一言だけで…私は…また嬉しくて…涙が…出てきてしまった…。

涙が…次々に…頬を…流れていく…。

「千影…。」

私が…泣いているのを…兄くんは…やさしく…見守ってくれていた…。

涙をずっと…拭ってくれていた…。時折…頬をよせて…抱きしめてくれた…。

この涙が…悲しさからくる…涙ではないのを…兄くんは…分かっているようだった…。

兄くんの…顔が…すぐ…近くに…ある…。ずっと…逢いたかった人が…逢いたいと願っていた人が…目の前に…いる…。

私は…自分から…兄くんの唇に…そっと…自分の唇を…重ねた…。

突然の事に…兄くんは…少し…驚いて…いた…。唇を離してから…兄くんの顔を見上げると…。

「兄くん…顔が…赤いよ…」

「千影こそ。真っ赤になってるよ…。」

兄くんに…言われて…はじめて…自分の…顔が…紅潮している…ことに…気がついた…。

「ふふ…そうだね…もう…なにも…恐れることなんか…ないよね…」

「ああ。もうなにも恐れる必要なんてない。僕がいる。いつだって僕がずっと千影の

 そばにいる。だから…。」

「兄くん…恥ずかしい事…言ってるよ…。」

兄くんの顔は…いまだに真っ赤だった…きっと…自分でも…恥ずかしい事を…言っていると…分かって…いるんだ…ろう…。

兄くん同様、私も…きっといまだに真っ赤だろう…。でも…嬉しかった…。

そのあと…私の…言おうと…したことは…また…兄くんの…唇に…邪魔されて…しまった…。

でも…嬉しかった…兄くんが…私を…受け入れて…くれている…。

あたたかい…初めての…気持ちが…私の中に…芽生えはじめて…いた…。

これからは…ずっと…兄くんと…一緒に…生きてゆける…それだけで…私は…誰よりも…幸せ…だと…思う…きっと…誰よりも…。

「兄くん…もう…はなればなれなんかに…ならない…よね…?」

兄くんは…笑って…私の…頭をなでながら…

「ああ。もう離さない。ずっと千影は僕のそばにいさせる。」

そう言って兄くんは…また…照れていた…。耳の先まで…だれが見ても…わかるぐらいに…。

「兄くん…また恥ずかしい事を…言ってるよ…。」

私も…顔が…また赤くなるのが…わかった…。体全体に…熱が…走り回るくらいに…。

それぐらいの…いきおいで…自分が赤くなっていくのがわかった…。

「兄くん……。」

「千影…。」

私と兄君は…また唇を…交わした…。こんどは…長く…気が…遠くなりそうなほどに…

永い…口づけを…。兄くんの舌が…私の口の中に…入ってきた…。私は…それを…

何の抵抗もなく…受け入れる事ができた…。舌を絡めあって…お互いを確かめあった…。



※中略



まだ…お互いの気持ちを…知ったばかりだけど…今は…それでいい…。

これから…お互いの事を知って…互いに…分かり合っていけばいい…。

障害もあるかもしれない…けれど…兄くんとなら…きっと…乗り越えてゆける…。

自分の…愛すべき人と一緒なら…どんな事でも…きっと…。

私はもう恐れない…。たとえどんな事があったとしても…。

兄くんが…最愛の人が近くにいてくれるから…。



あとがき?



砂糖:前作の言葉使いを直して少々添削加えた物デス。

蝙蝠:前作のは「兄くん」が「兄君」になってたからな。

砂糖:それではいけないって事で。前作の方を読んでくださった方(少ないと思いますが)ごめんなさいでした。

蝙蝠:再度謝罪。すみませんでした。

砂糖:それでも※中略は無くならない…。

蝙蝠:いっそのこと書けば?

砂糖:無理。って言うか法律上やめときますデス…。

蝙蝠:じゃぁ、あと二年後に書かせますか。

砂糖:本気デスか?

蝙蝠:もちろん。

砂糖:…………………。

蝙蝠:他のやつも早く仕上げてくれよ。

砂糖:「神の礎」進行中。

蝙蝠:早く書け。

砂糖:無理。

蝙蝠:なぜに?

砂糖:いえ、他のSS書いてるので。

蝙蝠:……まぁ、いい。それではこのような駄文を皆様読んでくださってありがとうございました☆

砂糖:ありがとうございましたデス♪次回も頑張りますデス。(たぶん)



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