シュレーディンガーの忘眠 〜 Border of Self #03-睡余の願い
夢と現にある境界。自分と世界の間の境。
私が望めば移ろう景色。夢なのかすら区別か付かない、私の視界。
それが無意味だと思ったのは何時の日か。世界が色褪せたのは幾年前か。
答えはずっとあったのに。気が付かなかったのは、私だけだったのに。
不確かなのは誰もが一緒。自分を確かめる術など何処にもない。
それでも皆、此処にある。生きている。
不確かな事など忘れて眠ってしまえ。夢も現実も、認識こそが世界を決める。
自分がいるかいないかすら、自分で決めてしまえばいいのだ。
ならば私は、此処にいる。あの子の隣、此処にいる。