★かって気ままなHONNY BEES 〜よん〜★
〜前回までのあらすじ〜
”名実”懲悪剣士・舞と”他称”天才魔法少女・佐祐理が、この世の悪を叩きのめす!
愉快痛快の旅情日記もクライマックス!
あくの侯爵・クゼノリータに舞の正義の一撃が炸裂する!
だがしかし・・・!!そこに現れたなぞの女性!
オレンジ色の瓶を片手に、困ったように微笑む彼女はいったいだれだ!?
「なぞのお嬢さん一号さんです。」
『・・・・・・・』
「・・・・・・・」
「秋子さん・・・・地の文に平然と答えないでください。」
沈黙。
「・・・・残念です。」
どうやら、皆の反応がいまいちだったせいで意気消沈しているようだ。
けど・・・オレンジの瓶が目の前をちらついているので、
祐一たちは何もいえないらしい。
奇妙な沈黙がながれる。
「あ、秋子さんはどうしてここにいるんですか?」
香里が意を決して、話し掛ける。
彼女は、いつも絶やさぬ微笑を浮かべて答えた。
「いえ、ここで騒ぐと近所迷惑になるのではないかとおもって。」
『え?』
「台所でお料理をしてたら、すぐ外から祐一さんたちの声がするので、少し外に出てみただけなのですけど。」
祐一たちは慌てて周りを見回す。
彼らの目の前には、一般的な二階建ての住宅。
見覚えのある家にかかっている表札は、これまた見覚えのある名前。
「・・・水瀬家ね。たしかに・・・」
「なあ、美坂・・・俺たち、さっきまで公園ら辺を歩いてなかったっけ?」
「・・・瞬間移動」
「あ、あはは・・・・もしかして佐祐理たちご近所迷惑ですか〜?」
「うぐぅ、話から取り残されたまま・・・・」
納得のいかない久瀬と北川が、首をしきりにひねっている。
気にしていたらはげるぞ。
「ところで祐一さん、これで皆さんお揃いですか?」
「ええと、まず。香里、栞、舞、佐祐理さんに・・・北川、久瀬、斎藤。それから、うぐぅと・・・」
「うぐぅ?」
栞が疑問の声をあげた。
「ああ、最近うぐぅという星からやってきた、趣味は食い逃げ。特技も食い逃げ。そして好物はたい焼きという奇妙な習性をもつ生物のことだ。」
「ひどいよ!ボクうぐぅなんて名前じゃないよ!」
「ああ、あゆさんのことですか。」
「・・・栞ちゃんも・・・そこで納得しないで・・・・」
半泣になったあゆを、栞がまあまあとなだめている間に、祐一が再び確認を再開する。
「ええと、まだ天野が来ていないようです。」
「天野さんなら、さっき少し遅れると言伝がありましたので、名雪と真琴を合わせて全員そろったということですね?」
「天野のことです。また、何かおばさんくさいことをやってるんでしょう。」
「・・・そんな酷なことはないでしょう。」
「そうそう。そんな風に・・・・・って、天野サン、イツカラココニイラシタノデスカ?」
ギギギと振り向いたそこには、茶色のブルゾンに身を包んだ美汐が恒例のごとくたっていた。
すこし、紅潮した顔は決して恥ずかしいからなんてことではなく。
「・・・ちょうど、相沢さんが私の名前を言ったといったところです。」
どうやら致命的な部分を聞かれてしまったようだ。
「あ、天野。その服、よく似合ってるぞ!」
おばさんみたいで。と心の中で付け足した。
「ひどいですね、この服装のどこがおばさんくさいというのですか?」
「・・・頼むから、みんなして俺の心の中を読まないでくれ・・・」
心底疲れたというように祐一は肩をすくめた。
「相沢さんの表情を見ただけでわかります。」
「ぐあ・・・」
「相沢君の思ってることは丸々表情にでてるから、わかり安すぎるのよ。」
「ぐは・・・」
「祐一さんの場合。口に出しているときがありますから〜」
「さ、佐祐理さんまで・・・」
流石の祐一とはいえ、この三人に口を挟まれると後がなかった。
合掌
「あらあら・・・・。みなさんもこんなところでなんですから、あがってお話になりませんか?」
続く