★かって気ままなHONNY BEES 〜ご〜★

 

「と、いうわけで僭越ながら、この久瀬則武が音頭を取らせていただいき・・・。

それでは、水瀬秋子さんの御誕生を祝って・・・・」

 

それぞれが、グラスになみなみと注がれた液体を高く掲げた。

 

「乾杯!!」

『乾杯!』

 

チンッ、と澄んだ音がリビングに響きわたる。

 

そして、宴会(パーティ)が始まった。

 

「秋子さん、お誕生日おめでとうございます。」

「ええ、ありがとう。香里ちゃん。」

「秋子さん。これ、プレゼントです。」

「あら?かわいいブローチ。栞ちゃんの手作り?」

「はい!お姉ちゃんに手伝ってもらったんです。」

「そう・・・。ありがとう、本当に。」

 

いたるところで誕生を祝う声。それに、響くグラスの音。

 

「相沢!お前の部屋を漁りに逝くからな!」

「おいっ!こら、斎藤!勝手にいくんじゃない!」

 

「騒がしいな、パーティとはいえ少しは静かに祝えないのか・・・」

「・・・・同感。うるさ過ぎ」

「あ、あははは・・・でも、静か過ぎても詰まりませんよ〜。」

 

ここぞとばかりに騒ぐ者。しんみり、グラスを傾ける者。

 

「天野さん?」

「?はい、なんでしょうか?」

「プレゼント渡さなくていいの?」

そう問い掛ける北川に、美汐は少しだけ微笑んで

「さっき、真琴と一緒に買ったんです。」

「沢渡さん?家にいたんじゃなかったの?」

「いえ、帰ったら電話がきまして。プレゼントに困ってるから相談にのるということで。」

「あ、沢渡さんだけ先に帰ったのか・・・」

「はい。・・・・北川さんもプレゼントを買ったのですか?」

その言葉に、相沢には秘密だけど。といって北川はうなずいた。

 

「おおおい!北川〜、相沢の部屋の捜索を開始するからお前もこ〜い!」

階段のスロープから身を乗り出して斎藤が呼ぶ。

「おお!そりゃいい、相沢がどんな生活をしてるか丸わかりだな!?」

ニヤリと北川が人の悪い顔をする。それは、まるでいたずらをするときの子供のようで・・・。

美汐は直感で、この人は祐一と同種族の人間なんだと言うことに気づいた。

 

「お母さん。お誕生日おめでとう!」

名雪が手にもった、ハンカチを渡しながら祝う。

毎年のこととはいえ、こういう風に母親の誕生日を祝うことはこの数年なかったことで、名雪もはしゃいでいた。

「ありがとう、名雪。」

「お母さんが生んでくれて、ここまで育ててくれたから私はここにいるんだよ。私、本当にお母さんの子供で嬉しいよ。」

「名雪・・・・」

万感の思いをこめていう娘に、彼女は涙を流す。

「でも・・・・」

 

「あのジャムだけはやめて。」

 

「不了承(一秒)」

 

「もう、私笑えないよ・・・・・」

 

名雪撃沈。

 

 

 

また、別の場所では・・・

「あう・・・」

「ほら、真琴。プレゼント渡さないとだめですよ。」

「あう。」

なんとも、ほほえましい風景が広がっていたり・・・。

 

「ボクはなんのために出てきたの?」

意味不明な言葉を紡ぐ者もいたり、いなかったりとか・・・・

 

 

「お〜い。あゆちゃん!いまから相沢の部屋を捜索するんだけど、いっしょにどう?」

「斎藤!あゆまで連れてくることないだろう!」

「往生際が悪いぞ、相沢。」

「え!?祐一君の部屋!?」

「こら!あゆあゆ、お前までこいつの話に乗せられるんじゃない!」

と祐一が言ったところで、まったくあゆの耳には聞こえていなかった。

(そんな、祐一君の部屋に入るってことは、名雪さんとの愛の巣にはいるって言うことで、それがどうゆう意味だかわからない年頃じゃないし・・・でもでも、こんな機会じゃないと祐一君の秘密を暴くことなんて出来る分けないから・・・ううう、でも。名雪さんにばれたらきっと紅生姜をたっぷりとご飯の上に盛られてたり・・・・でも・・・・もしかすると、今までからかわれた分も一気に取り返せるような大逆転がまってるかも・・・・うう〜〜)

ここまでの思考、約一秒。

「・・・・・・ボクも、いくよ!」

どうやら、祐一の死刑宣告の時は早まったようだった。

 

続く




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